保険料の全損と損保の全損

 保険業界での混同しがちな言葉に全損(ぜんそん)という言葉があります。主に保険料などの経理処理上の全額損金を示す全損(生損保双方に当てはまる)と、主に損害保険で言われる自動車の全損があります。脈略なく一瞬全損と言われた場合、正直どちらの意味か迷うことがあります。ネット上で全損というキーワード検索した結果も双方織り交じる結果となるほどです。ここでは双方の意味を紹介します。

 

 双方の保険料などの経理処理上の保険料の全額損金扱いの商品をよく全損商品と言います。法人契約の保険で、保険商品や保険期間などによって経理処理上、経費として計上できる割合が違います。経理処理上では、「前払保険料」と「支払保険料」に分けられます。前者は財務諸表の一つである貸借対照表(バランスシート)上の資産に計上され、後者は損益計算書(インカムステートメント)上の経費に計上されます。経費として計上できるのは支払保険料のみです。保険料のうち、全額を損金計上できるものを全損、半分を損金計上できるものを半損、全額を前払保険料として計上するものを全額資産計上と呼びます。損害保険の保険料も例えば自社所有の建物等の保険料は、未経過分を除いて、支払った日の属する事業年度の損金扱となります。自動車保険の場合、強制保険の自賠責保険と任意保険の2種類があり、双方費用にあてることができます。保険契約が1年以内であれば一括で計上するのに対し、複数年契約であれば、期間に応じて計上できます。契約が長期の複数年にわたっている場合は長期前払費用として複数年で案分して計上されます。

 

 ここまで説明すると、損害保険における全損という言葉が、経理処理上の損害保険料ということになりそうですが、主に損害保険業界で使われる全損という言葉の意味は、主に自動車保険の支払い時などで使われます。なんとなく、私たちのイメージで車の全損というと、物理的に完全に事故などで動かなくなった状態や完全に壊れてしまった状態のことと思いがちですが自動車保険などで全損というと大きく分けて次の3つの意味に分けられます。①車が修復不可能なまでに損害を受けてしまった場合②車が盗難にあい発見できない場合③修理費が車両保険の保険価額以上になってしまった場合。の3つです。車の価値は基本的に時間の経過に伴い保険価格が減少しますので、修理代がそれ以上などになると全損扱いとなります。

 

 「全損の保険料の自動車保険で、自動車が全損となり保険金を受け取った」と言われると一瞬、なにがなんだかわからなくなるかもしれません。もし法人加入の生損保などの経理処理などで不明な点があればFPに相談してみてください。

 

続く