コロンブスの卵

 最近、新規提案先などに当社の戦略や今取り組んでいるアイデアのお話などをすると、『そんな話は以前から話題になっているよとか、大手がすでに作ってるよ』。などの辛辣なご意見をいただくことも多いです。特にITやDigitalに関するユーザー向けのサービスの話になったとき、とかく悔しさまぎれなのかわかりませんが、その時私が心の中で思うのが、『でも実際ユーザーに使われてないよね』。「コロンブスの卵」という今回のタイトルは、アメリカ大陸の発見はだれでもできることだと批判する人々に対して、コロンブスは卵を立てることを試みさせ、だれにもできないのを見て、卵の尻をつぶして立ててみせたという逸話。一見簡単そうなことでも、初めて行うのは難しいというたとえでよく使われるフレーズです。当社の社長やその他社員は実に天才的な閃きを形にする才能ある方々が多いと思います。私はどちらかというと、ユーザー側の最前線に立っているので、特に金融サービスのユーザー目線で考えたときに、似たようなものはたくさんあるけど、あればいいと思うものを今回紹介します。

 

❶会社別に異なるフォーマットの紙資料のDigital一元化

 

 以前、ペーパレス化というコラムで紹介しましたが、保険会社から送付される保険証券、年末控除証明書、国から送られる年金定期便、証券会社から送付される各種運用報告書、銀行の通帳記帳、会社の健康診断結果報告書、カード会社からの請求書などなど、それぞれの会社や団体は、マイページなどでデジタル化しているため、それぞれのID,Password,各種認証サービスをマメに登録していけば、さまざまな方からご指摘のとおり、そんなのとっくにやっているよ感満載なのは事実です。でも正直私ですら使っていません。なぜならそれぞれの企業、団体が、Digital上でも異なるフォーマット、ID,Password,で運営しているため、いちいち別のサイトからログインして、同じお金に関する大切なレポートで、FPが皆さんのために作成するキャッシュフローやライフプランにリンクしていないからです。例えば、あるカード会社の利用明細を見て、『今月使いすぎたな、ところで銀行の残高いくらあったっけ、足りなそうだから仕方なく投資信託や保険切り崩すか・・』などのとき、4つのサイトをそれぞれログインすることこそストレス以外の何物でもないからです。その三社が同一の金融グループで会っても統合されているものを見たことがありませんし、実際に銀行口座開設、カードの申込、投資信託の口座開設はそれぞれ時系列も担当者も別なことが多く、同時に同一の金融グループで開設する方はそこの社員以外あるのでしょうか。もし本当にユーザーのためにデジタル化しているという自負があるのであれば、ユーザーが別の金融サービスを使っていてもサービスを一本化すべきですが、私も事業会社に長くいたので、他社や他業種に主導的に合わせにいくなんて案を出しただけでも一蹴されがちです。この部分の本当のユーザー目線のDigital金融サービスは、独立したサードパーティが主導で行うしかないと思っています。

 

❷サードパーティが運営している金融サービスのDigital一元化

 

 さらに、発展すれば、そのサードパーティが運営している、家計簿アプリや運用管理アプリすら、FPが提唱する生涯キャッシュフローの把握にリンクしていないことが多いです。FPがクライアントのオーダーに応じて作成するキャッシュフローも、多様化するキャリア形成時代の中作成時のクライアントの予定と、数年後の予定が変化していることも多いです。また、口では分かっていても年がら年中計画通りのお金の流れになる人は非常にまれです。FP的なユーザー目線で考えれば、生涯キャッシュフローにリンクした、各種Digitalサービスが一元化していたら、どれほど便利かと常に考えています。例えば、生涯キャッシュフローを立てて、銀行、保険、カード会社、証券会社の各種マイページの内容がリンクし、家計簿アプリ・資産運用アプリの統合されたアプリにリンクして、自分の家計の予算と実績が見える化され、更に使いすぎなどのワーニングやレコメンドが出るようなユーザー目線の金融サービスがあったら、どんなにストレスと不安が軽減できることでしょう。

 

 コロンブスの卵の逸話で、『西に向かえば大陸にぶつかるはずだ、そんなことは誰にでもできる』といった人たちの前で、コロンブスは『この卵を立たせてみてください』といったそうです。ころころ転がる卵に悪戦苦闘する人たちの前でコロンブスは卵の先をつぶして立たせたそうです。ではつぶさないで立たせる方法はあるのでしょうか。ある大学の研究では実際に卵は何も使わないで立つポイントが必ずあるという発見を最近したそうですが、仮に時間をかけないで立たせる方法をご存知ですか。その答えは…

 

続く