ボーダーレス

また、最近のキーワードとして“ボーダーレス”という言葉も非常に意識しております。ボーダーレスとはもともとは国境などの境がないとか薄れるという意味ですが、国境だけにとどまらず経済活動や情報や文化についても境がないという意味です。

 

ここ20数年間ファイナンシャルプランナーとして活動してまいりました。20年前はお客様の相談を受けているとき、米ドルなどの外貨預金の説明すら抵抗を正直感じておりました。また、投資信託や株式などのリスク商品に関しても導入に慎重で逡巡するお客様が非常に多かったイメージがあります。最近では、米ドルだけにとどまらず、オーストラリアの豪ドルの商品など取り組まれる方も多く、投資信託をネットで取り組む方も見受けられます。

 

また、運用の面でも、いわゆる金融商品だけでなく不動産投資やリート(不動産投資信託)など積極的に運用に取り入れる方も多くなってきた印象があり、運用にも境がなくなってきたような印象があります。

 

日常生活においても、道を歩いているとなぜか外国人(表現が適切かわかりませんが、とにかく日本国外の方々)から声をかけられることが多く、外貨の両替はどこですればいいの?とか、大手町にいても東京駅の行き方(日本人でも非常に複雑な迷路)などを英語で話す機会も本当に多いです。

 

私の話をまたして恐縮ですが、アメリカに留学しているとき、サンアントニオというテキサス州の小さな街に行ったとき、白人の老夫婦に道を聞こうとして“エクスキューズミー?”と声を掛けたらそっけなく“No”と答えられて非常に悲しい思いをしたことがあります。また、フロリダ州マイアミに一人旅で訪れたときに、郊外で日本人旅行者をターゲットとした詐欺にあい、一銭もなくなったときに、ヒスパニックとアフリカンアメリカンの少年にメトロムーバーの運賃をおごってもらいしかもダウンタウンまで連れて行ってもらいました。

何がいいたいかといえば、政治的な思想のことではなく、人間一人ひとりの与える印象が、その人が持つその国や文化の印象になるということです。また先入観や偏見が正常な物事の判断をブレさせる要因になります。

 

話はがらっと変わりますが、先述のリスクなどの話で触れましたが、分散投資の観点で言えば、専門的な用語でと”相関係数”という言葉があります。は、2つの資産の関連度合いを示す統計値です。 そして、その関連度合いは各資産のリターンを元に算出され、「0を中心に、1~-1の範囲」の数値で表されます。具体的に、 分散投資をより効果的にするには、この相関係数が重要になります。

最も効果的な分散は、値動きが逆の(相関係数が-1に近い)ものを組み合わせることです。

簡単なたとえで言えば、サンオイルを製造する会社と雨傘を売る会社の株式は相関関係がマイナス1に近いといった傾向があります。なぜならある夏の日が晴天続きでレジャー日和が続いたとしましょう。当然ながらその夏は雨傘があまり売れません。また逆に雨の多い夏だったとします。雨傘は売れる一方でサンオイルは売れません。

 

相関係数が-1に近ければ近いほど、リスクが小さくなり、逆に相関係数が(完全に)1の場合は分散効果がありません。相関係数が1の関係とは簡単なたとえを言えば、サンオイルとかき氷・日傘の会社(この観点で例えてしまうと、傘メーカーはニュートラルとも言えてしまうのですが)ばかりの株式を買ってしまう。そうすると、晴天が続く夏なら大きく儲かる可能性がありますが、雨天が続く夏だと大きく損する可能性があります。私は晴れ女でからっと晴れた夏が好き!という先入観や偏見が大きなリスクを生むのです。

 相関係数がマイナスな関係のファンドや投資対象を組み合わせることで、先述のリスク(期待収益率のブレ幅)を安定させることが可能です。

 

 私も実は地元愛が強く、地元の球団やメーカーを内心応援してしまう癖がどうしても抜けません。なので、投資対象として地元の大手自動車メーカーや関連会社のグループファンドも持っています。仮にそれだけだったとすると、為替リスクや地震などの天災リスクをヘッジできません。

 

日常生活でも、いろんな情報が入ってくる昨今、人から勧められたものはとりあえず否定しないで受け入れてまず調べる。調べた後に仮に好きなものだったときも偏狭的に溺愛しないで一点張りにしないようにしています。また逆に自分の苦手な分野やモノであったとしても、少額や少量であれば一部取り入れてみる。前回、常に感情に左右されず一定の活動量をキープするとお話しました。ここでは、“スキキライ”という尺度で物事を判別しないで、双方取り入れてみる。そうするとくどいようですが、仮に知らない人に道を聞いて“エクスキューズミー”と話しかけて“No”とそっけなく答えられても、“That's Just the Way It Is(そんなもんだよ)”と平常心でいられます。(道の話だけにWayなのはお粗末。)

日常生活や投資の世界であえて、“自分はこれが好きだから、嫌いだから”の観点で境を作ってしまうのではなく、国・情報・文化をボーダーレスにするのもひとつのコツです。

 

つづく