なかったことに

 いくら気持ちの問題とは言え、それは年相応であなたのお給料が高いからという意見もあるかもしれません。自分はまだ若いからとかもうちょっと生活に余裕ができてからとかいろんなご意見や状況もあるでしょう。あくまでも自分の経験談をお話します。

 

 20代後半にサラリーマンを辞めて独立系ファイナンシャルプランナー(FP)として独立しました。当時FPという言葉が浸透していないときに、これからの時代は皆さんの資産管理のゲートキーパーとして欧米で流行っていたことを日本に持ち込むんだという気合だけで独立しました。独立後の年収は200万円台で無謀にも名古屋の一等地に事務所を構えて意気揚々と始めました。1年半ほど続けているうちに、FP系のベンチャー企業から声がかかり、その時に提示された年収が前年度の年収を反映した約300万円台でした。それから時給に換算すれば今のアルバイトのレベルをはるかに下回る状況でがむしゃらに働いてお給料レベルを上げていきました。そんな苦労話はききたくない・・という方も多いでしょう。何が言いたいかというと、自分の一生の収入の平均値をとれば、日本の平均年収を下回るレベルです。

 

 それでも、30代前半から長期分散投資を標榜してお客様に提案する以上、自分が実践しなければ説得力がないというモットーから毎月いくらかを給料の振り込み後に強制的引き去りの毎月投資型の投資信託と保険を始めました。

 

 貯蓄や投資を考えている皆様の中で、毎月のお給料から洋服や生活費、娯楽費を引いた後あまったお金を普通預金にためている人もいるかと思います。それはそれでいいと思いますが、それだと正直毎月の貯蓄額にブレはありませんか。仮に2月は月が短くて節約できたと思っても、3月になったら親戚の入学祝や送別会で全然残らなかったなんてことも。

 

 分散投資のコツとしては、毎月のお給料の振り込みの直後に家賃のような固定費と一緒のタイミングで投資口座に強制的に引き去ってしまうということです。最初からその金額分はなかったことにしてしまう。そうすると、自分が働いている間や寝ている間にお金は勝手に世界中で運用・金利という言葉で働いてくれます。投資の世界の言葉で有名な言葉、映画の副題にもなった“Money Never Sleeps(お金は眠らない)”という体験が少額でも実現できるのです。

 

 最初からなかったことにしてしまえば、ある分だけで身の丈にあった生活をしようとする。なかったはずのお金が勝手に働いてくれる。人間は眠らないで働き続けることはできません。お金は殊勝にも一生懸命に世界中で働いてくれます。でも、それは人間が日中働いてお給料をもらうことができる前提の話です。ある日突然病気になって働けなくなったときこのロジックは成り立たなくなります。がんは一生のうちに2人に1人が罹患します。自分には関係ないと思っていても、その突然の宣告は残念ながら“なかったこと”にはなりません。そのための資産防衛の方法、それが金融商品のひとつ“医療保険”なのです。

 

続く